アジア獣医皮膚科専門医 伊従先生 有名トリマー dogsalon horohoro様、dle.dogdesign様監修
今の時期に注意すべき皮膚トラブルや皮膚ケア方法や季節に合った仕上がり抜群になるおすすめ商品やケア方法をご紹介。
前回は犬の脂漏症の原因やスキンケアについて解説しました。今回は膿皮症の原因やスキンケアについてご紹介いたします。その中でも、特に有効でサーカス動物病院でも愛用している、高濃度炭酸泉やシャンプーマシンについても詳しくお話しますので、是非最後までお読みください。
画像提供:dogsalon horohoro様
脂漏症とは
膿皮症は、主に皮膚表面や毛穴の中に常在するブドウ球菌の感染によって発生します。ブドウ球菌は本来皮膚の常在菌であるため、勝手に増殖・感染を起こすことは稀で、多くの場合はブドウ球菌の感染を助長する要因が存在します。
特に、夏に発生しやすい膿皮症では、先述の脂漏症のほか、多汗症やアトピー性皮膚炎(夏のアレルゲンに反応するタイプ)が背景としてよく見つかります。膿皮症はブツブツ、膿、フケやカサブタ、脱毛などの皮膚症状を呈し、かゆみを伴うことが一般的です。
症状は、背中やお腹、足など様々な部位で発生します。膿皮症は様々な品種で起こりますが、私のクリニックで夏にご相談が多いのは、ヨーキー、シュナウザー、フレンチ・ブルドッグ、ラブラドール・レトリバーなどが挙げられます。
脂漏症も膿皮症も症状に応じて薬物療法が必要になりますが、スキンケアが症状の緩和、症状の再発予防に重要となります。
脂漏症のスキンケア
ブドウ球菌が増殖、感染している状態なので、抗菌シャンプー(特にクロルヘキシジン配合製剤)がよく使用されます。一方で、夏に膿皮症を発生させる要因としては、多汗症やアトピー性皮膚炎が一般的です。
抗菌シャンプーは、背景にあるアトピーなどの影響で増えてしまった菌を落とすための一時的な火消しにしか過ぎません。菌の増殖や感染が強い場合には、抗菌シャンプーは有効ですが、膿皮症を起こした背景を意識したスキンケアを組み立てることが重要です。その中でもおすすめなのが炭酸泉浴です。
研究で証明された炭酸泉プレジールの効果
膿皮症で菌が増えた状態の皮膚は、皮表のpHがアルカリ性に傾きやすいことが知られています。また、多汗症でも皮表pHがアルカリ側に傾きます。皮表pHがアルカリになると、さらに菌の増殖を助長するリスクがあります。炭酸泉は弱酸性のソリューションであるため、皮表pHを酸性側に傾けてくれます。
高濃度炭酸泉発生装置プレジールは、犬の膿皮症を対象に効果を検証した研究が行われています。プレジールによる週1回の入浴を3回実施した結果、膿皮症の重症度をおおよそ半減させ、皮表pHが弱酸性に改善したことが示されています。膿皮症のスキンケアは抗菌シャンプーだけでなく、皮表pHを意識したケアも重要です。
夏の膿皮症の背景となりやすい犬アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能の低下が病態に深く関与する疾患です。膿皮症の菌を落とそうと、シャンプーを一生懸命やってしまうと、皮膚バリアをさらに傷つけてしまうリスクがあります。もし、背景にアトピー性皮膚炎がある膿皮症に対しては、皮膚バリアを傷つけにくい洗浄法を検討する必要があります。そのツールとしてシャンプーマシンランズが非常におすすめです。
画像提供:dogsalon horohoro様
シャンプーマシンランズとは
シャンプーマシンは、シャンプーとシャワーからの水を混ぜ、少量のシャンプーからきま細やかな泡をたくさん産生し、シャワーヘッドからダイレクトに放出することが可能です。したがって、すすぎと泡洗浄の工程を同時に行うことができます。擦る必要もないので、皮膚への負担も少なく済みます。
「シャンプーマシンRUNSを用いた洗浄によるBefore/After」<画像提供:世界初・ペット業界シャンプーソムリエ トリミングサロンHotdogs吉田誠司様>
さらにシャンプーマシンランズは、きめ細かな泡+水圧による洗浄力と炭酸泉の効果で、短時間で洗浄できるため、デリケートかつ洗浄に時間がかかる脂漏症や膿皮症のわんちゃんも、体への負担を少なく洗浄することができます。シャンプー後はしっかりと保湿し、日常的にも皮膚バリア機能を高めるために保湿をすることをおすすめします。
いかがでしたでしょうか?前回の脂漏症と合わせて膿皮症の原因やケアを学び、夏に起きやすい皮膚トラブルを回避しましょう!
次回は犬の皮膚構造や基礎知識、具体的な炭酸泉による改善症例などについてご紹介予定です!PLUCK通販サイトに会員登録&メール購読をON、もしくは公式LINEにご登録の上、記事更新を楽しみにお待ちください^^