ワンちゃんには皮膚炎のリスクがつきものですよね。その中でも脂漏症は罹患率が高い皮膚炎です。今回は脂漏症とシャンプー方法にフォーカスした内容でお届けします。
(本記事は2023.6月の記事を皮膚ケアにフォーカスして再編集したものです)
1. 脂漏症とスキンケア方法について(アジア獣医皮膚科専門医 伊従先生監修)
脂漏症とは
皮脂の分泌の変化や皮脂の質が変化することで、皮膚のベタつきやフケが生じます。皮脂分泌が過剰になり、皮膚の表面に余分な皮脂が残った状態では、マラセチアと呼ばれる酵母様真菌が増えるリスクがあります。
マラセチアの増加は痒みや皮膚炎、悪臭を発生させる原因となります。症状は顔のシワ、口周り、耳、首の内側、足先、脇、股、お尻周りなど、皮膚と皮膚が重なりやすく、皮脂汚れがたまりやすい部分に強調されます。
脂漏症が発生しやすい品種としては、コッカースパニエル、シーズー、ダックスフンド、ウエスティーなどですが、その他の犬種も、蒸し暑くなってくる6月~9月には注意が必要です。
脂漏症のスキンケア
症状に応じて薬物療法が必要になりますが、スキンケアが症状の緩和、症状の再発予防に重要となります。ベタベタやフケが多い脂漏症は、余分な皮脂や過剰なフケをしっかりと洗浄するスキンケアが重要です。
まずはシャンプー選びです。シャンプーの洗浄力は配合される界面活性剤によって決まります。界面活性剤には硫酸系(高級アルコール系)、石鹸系、アミノ酸系に大別されます。
硫酸系は洗浄力が強いですが、皮膚バリアへの影響が懸念されます。アミノ酸系はマイルドな洗浄力で皮膚バリアへの影響は少ないですが、頑固な皮脂汚れは不得意な場合があります。石鹸系はその中間に位置するタイプになるので、石鹸系から始めるのが安全でおすすめです。
石鹸系シャンプー製品の中でも、ハルズダーマルケアシャンプーが非常におすすめです。
※大阪府立大学大学院生命環境科学研究科で抗菌レベル検証
その他ウイルス・細菌(全6種)のデータあり
沖縄県浦添市ペットサロンClover様での事例
「週1回の薬用シャンプーをハルズダーマルケアシャンプーに変えて2か月経過のbefore/after」
2. シャンプー方法
次にシャンプーの方法です。まずシャンプーが皮膚まで行き渡るよう、十分にブラッシングをしましょう。ブラッシング時には皮膚に負担が出ないよう、ブラッシングスプレーの併用がおすすめです。皮膚にはつけず、塗布したい部分から10~15cmほど離してスプレーし、ブラッシングしましょう。自宅での普段のブラッシングでの使用もおすすめです。
dogsalon horohoro様、dle.dogdesign様も愛用ハルズダーマルケアシャンプー、コートディタングラースプレー、コンパックスリッカー
そしてシャンプー前のすすぎを入念に行い、皮膚と毛に十分に水を含ませます。皮脂汚れを効率よく落とすには、きめ細やかな泡で洗うことが重要です。シャンプー剤はぬるま湯を加えて、スポンジやネットで十分に泡立てます。
決して擦らず、優しくマッサージするように泡立てたシャンプー剤を繰り返し塗布してください。最後にシャンプー剤が残らないように入念にすすぎます。
このように、脂漏症のシャンプーは結構手間がかかります。シャンプーの時間が長くなることで、ペットへのストレス負荷も懸念されます。皮脂やフケ汚れを短時間かつ効率的に落とす機材としては、サーカス動物病院でも愛用している炭酸泉やシャンプーマシンがおすすめです。
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